さとっちゃん菜園です。
丹波黒大粒大豆つまり黒豆の収穫を増やす栽培方法と育て方です。
黒豆と同じように大豆・エダマメでも同じ方法が可能です。
後編では、定植から収穫を説明します。
もくじ
驚きの緑化・断根・摘芯
植物を栽培している人にとって、こんな事やっちゃダメだよという方法です。
先に言葉を説明しておきます。
- 緑化:発芽してまだ地中にある豆を日光浴させて葉緑素を活性化
- 断根:発芽した根を全て切り取り、根が無い状態にする
- 摘芯:双葉の後に最初に出てくる本葉(初生葉)を切り取る
植物にとっては余りに過酷な状況であり、枯れるのは確実です。
しかし、大豆や黒豆では収穫量を増大させる栽培方法・育て方なのです。
緑化断根摘芯に使用する黒豆のタネを準備
タキイ種苗のタネを選定
今回用意するタネは、タキイ種苗の丹波黒大粒大豆です。
前年はネット通販の無名な販売店から購入したのですが、アズキのような小粒ばかりの収穫になり残念でしたので、有名な種苗会社のタネを購入する事をお勧めします。
■タネ選びは収穫に大きな影響を及ぼすので、大手のタネを購入しましょう。
タキイ種苗の丹波黒大粒大豆のタネ袋です。
中身は同じで容量が異なる1dl(=100ml)と35mlの2つを購入しています。
パッケージの左が1dl(=100ml)、右が35mlです。
パッケージの背面です。記載内容は同一です。
それぞれのパッケージ(タネ袋)に何粒入っているかは、前編を見てください。
定植する緑化断根摘芯の苗たち
6月7日、黒豆のタネ蒔きをしています。
6月12日、緑化しています。
6月18日、緑化断根摘芯苗をポットに植えしています。
タネ蒔きから19日が経過した6月28日、ポットに植えした苗の本葉が茂って、定植タイミングです。
黒豆の緑化断根摘芯苗を定植
定植する場所は、事前に耕しておきます。
畔の緑化域(周囲)には、クローバーを植えています。目的は2つあります。
・畔の雑草防止
・虫たちの住処を提供して、栽培している作物への影響低減
クローバーは土壌に漉き込むと緑肥の効果も期待できます。
畔の部分を除いて、正味で1m x 3.5m が植え付けエリアです。
ポット苗を仮置きして配置を決めます。2条で植え付けします。
定植します。
条間(じょうま:条と条の間)は、50cmにしています。余裕があるなら更に拡げましょう。
株間(かぶま:となりの株との間隔)は40cmは欲しいところですが、少し狭めの30cmです。
黒豆の定植後の生育状況
初期成育状況の確認
定植直後の生育の善し悪しが、その後の成長に大きな影響を及ぼします。
定植後19日経過した、7月17日の状況です。
どの株も本葉が大きく展開して30cmを超える高さまで伸びて、初期成育は順調です。
株元の様子を見てみましょう。
摘芯したところから強い脇芽が2本伸びていることが分かります。
このころになると、ほとんどの子葉は役目を終えて脱落していきます。
子葉からの養分供給が終わるので、以降は2~3週間毎に肥料を与えます。
豆類の栽培は肥料を控えめとしますが、緑化断根摘芯栽培では十分な肥料を与えることで、収穫量の増大に直結します。
黒豆の緑化断根摘芯苗は、葉の間隔が通常栽培に比べて明らかに詰まっていて、コンパクトでがっしりしています。
収穫までの生育状況
定植後29日経過した、7月27日の状況です。
どの株も元気な葉が茂っています。
背丈は50cm程度まで伸びています。
株元を観察してみます。
数日前に株元に肥料散布して、子葉が有った高さまで土寄せしています。
葉の付け根からは、葉になったり実が付いたりする脇芽が出てきています。
倒伏防止の対策
定植後33日経過した、7月31日の状況です。
この頃になると、株がかなり大きくなってきます。
どの株も2本の茎が伸びています。
定植後39日経過した、8月6日の状況です。
背丈は60cm程度まで伸びています。
強風による倒伏を防止するために、Φ16mm園芸支柱で囲っています。
8月以降は、葉を食害するコガネムシ・豆の中に入り込む蛾の幼虫が発生するので、薬剤による防除も必要です。
9月に入ると草丈の伸びが止まります
定植後77日経過した、9月13日の状況です。
この頃になると、背丈は80~100cm程度で止まります。
定植後116日経過した、10月22日の状況です。
9月以降は、見た目の成長はありません。ですから、この時期は実の充実にエネルギーが使われていると考えます。
葉が緑色から黄色に変化し始めています。
定植後128日経過した、11月3日の状況です。
黄色に変化した葉が増えています。
実が膨らんで、鞘(サヤ)も黄変しています。
あと2週間位が経過したら収穫です。
いよいよ黒豆の収穫です
定植後142日経過した、11月17日です。
タネ蒔きした日からだと、161日が経過しています。
株元の葉を取ってみました。
地面のすぐ近くから実が付いています。
この位置に付いている実は、定植後29日経過した7月27日に伸び始めていた脇芽なのです。
株元は土寄せしていたので、子葉(双葉)が有った位置より下まで土を掘り下げてみましょう。
土寄せしたところからも発根していますので、土寄せは生育に寄与しているようです。
サヤの収穫をやり易いように、先に葉を除去します。
倒伏防止のために設置した園芸支柱や固定用の紐が見えます。
株にはたくさんの実が付いています。期待できそうです。
根ごと株を抜いてみます。
背丈は80~90cmあり、地表から10cm~70cmの間に実が付いています。
根張りを確認してみましょう。
断根しているので、真下に伸びる主根はありません。
主根はありませんが、放射状に大量の根が拡がっています。
これが収穫量に大きく寄与するのは明らかです。
不思議なことに、マメ科植物の根に住みつく土壌細菌である根粒菌の粒がほとんど見られません。
24株の全てを刈り取りました。葉を除去しているので、サヤ(鞘)を容易に切り取れます。
切り取ったサヤをネットに入れて、10日間程度かけて自然乾燥させます。
鞘付きでの乾燥を終え、鞘から黒豆を取り出して、乾燥を続けます。
いよいよ、収穫量の測定です。
乾燥させた正味質量は、1.6Kg になりました。
緑化断根摘芯した黒豆の収穫量評価
過年度の収穫実績は次の通りです。
本年 緑化断根摘芯 x 24箇所 1.6Kg 平年の2倍の収穫量
1年前 2本仕立て x 24箇所 0.3Kg タネの品質不良で収穫量減
2年前 2本仕立て x 24箇所 0.8Kg 平年の収穫量
3年前 2本仕立て x 24箇所 0.1Kg 蛾の幼虫がサヤを食い荒らす
収穫量で比較します。
緑化断根摘芯では1.6Kg、通常のタネ蒔きでは0.8Kgとなり2倍の収穫量
必要とする最低のタネの数で比較します。
緑化断根摘芯では24粒(24箇所)、通常のタネ蒔きでは48粒(2本x24箇所)となり1/2のタネ数
間引きや生育不良を加味した実際に必要なタネの数で比較します。
緑化断根摘芯では27粒(24箇所/90%)、通常のタネ蒔きでは96粒(24箇所x4粒)となり1/4のタネ数
緑化断根摘芯のまとめ
緑化断根摘芯で黒豆を栽培することで、収穫量は2倍になります。
タネ蒔きに必要とする黒豆の数は、1/4になります。
黒豆のタネの購入量を減らすことができて、収穫量は増えるという、超嬉しい結果となります。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。